2010年元日に発表した一億年レコードから気がつけば10年間も経ちました。
あれから色んな物事の意味合いと価値観が反転したように思います。
そして当時自分はそれを、心の底から渇望しながら作った作品だったような気がしています。
現在の耳で聞くと音楽的稚拙さや楽曲の散漫さ
そもそも何をやりたかったのかわからないナンバーなども多々あり
あまりに隙だらけで、恥ずかしく、しかしそれも今となっては全部懐かしい思い出です。
2020年、歴史的な疫病下で世界が日々シリアスさを増していく中で
自分は無力感を感じていました。
(以前の自分ならそうしていたように)新曲を書こうと何度か楽器を手に取りましたが
どんなテンポも、どんなコード進行も、どんな歌詞も
今の世界で歌うには強度が足りないと肩を落としました。
そんな時ふとこのアルバムを聞き返し、当時意図していたものとは
全く違う意味合いで10年前の自分の音楽が入ってきました。
今一度、この楽曲を存在させておきたいと思いました。
それがこの「一億年レコード(refinished 2020) 」という作品です。
refinishという言葉にはそんな想いが込められています。
しかし具体的な作業部分では新しいレコーディングはせず
当時の作品の素材だけを使用して制作しました。
いくつかの例外を除き、音楽的なミスやノイズは作品固有のものとしてそのまま残しました。
そうでないと今再びこのアルバムを聴くことにあまり意味がないような気がしたのです。
シンプルな説明としては、リマスターが近いかもしれません。
2010年にとてもプライベートな方法で発表したこのアルバムを
2020年、再びプライベートに発表したいと思います。
みなさんがどうか、健やかで、心から愛する音楽と共にありますように。